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■鋳物製品のご案内■
あなたの身近な鋳物たち

 銑鉄鋳物は日用品から原子力まで、多彩な方面に用いられており、まさに使い勝手のよい材料といえます。耐摩耗性から始まって熱伝導率まで、多面的な特性・機能を持っています。そして、中には切削性がよくて耐摩耗という部材もあります。次のように色々な物に使われています。

自動車用 
 銑鉄鋳物の生産量の約半分がこの分野ですから、大へん重要です。1968年の調査では自動車総重量の13.8%が鋳鉄でしたが、10年後の1978年では10.8%、またその10年後の1988年では10.5%と減少してはおりますが、やはり、自動車の重さの1割は鋳鉄であることになります。
シリンダーブロック  部品としてはシリンダーブロック、クランクシャフト、カムシャフト、エキゾーストマニホールド、オイルポンプハウジング、ブレーキロータ、その他があります。
 シリンダーブロックは中央部にシリンダーを抱え、強度、剛性のほかに耐摩耗性、耐食性、冷却能、耐熱性、気密性、制振性が要求されます。アルミ合金製もありますが、さすがにシリンダー部分はライナーとして鋳鉄スリーブが使われています。
 クランクシャフトは鋼の熱間鍛造品が一般的なのですが、コストの面の有利さから、ダクタイルが使われています。
クランクシャフト  カムシャフトは苛酷な摩耗に耐えなければならないので、チルド鋳鉄(カムノーズ部をチル化する)が用いられています。エキゾーストマニホールドは使用中に亀裂とか変形を生じ易く、亀裂を生じるとガス漏れをおこしますから、耐酸化性、高温疲労強度、熱疲労強度、高温クリープ強さ、鋳造性、加工性が要求されます。
 オイルポンプハウジングは油圧がハウジング側へ押しつける方向に働きますから、高い耐摩耗性が要求されます。ブレーキは車輪の運動エネルギーを摩擦により熱に変換して大気に放散させることが基本ですから、ブレーキロータには耐熱構造部材としての強度と高い熱伝導率が必要になります。
 自動車用には他にも使われている部品が多数ありますが、上に挙げてありますように、形状が複雑で、かつ耐摩耗性、制振性、耐熱性、そして熱伝導のよいことが要求される部位に鋳鉄が使われています。
 先程、自動車の重さの1割は鋳鉄といいましたが、1990年代の半ばぐらいになりますと、10%を割り、8〜9%になり、かつシリンダーブロックがアルミ化された車種では鋳鉄使用量が減り、5%前後まで落ち込み、1997年の全車種の調査では2%を割る(産業調査会報告)という、愕然とする数字も上げられています。しかし、シリンダーブロックが鋳鉄製の車種では10%に近い数字にはなっております。

工作機械用
旋盤ベッド 鋳鉄は旋盤のベッドに代表される工作機械の主要構造材であります。いっとき、旋盤のベッドを鋼溶接構造で、ということもありましたが、この分野は明らかに鋳鉄の独壇場になっています。工作機械の主要構造材として望まれるのは剛性、振動減衰性、耐摩耗性です。そして温度、湿度による寸法・形状変化が少ないこと、加工性がよいこと、加えて製作コストが安いことが要望されます。

土木建設機械用
 パワーシャベルおよびブルドーザーの部材に鋳鉄が使われています。
 パワーシャベルでは足回り、減速機部品、エンジンおよび油圧部品になりますが、足回り用のカラーにCV鋳鉄が、分割型のキャリアハウジングにダクタイルが使われるように、苛酷な使用条件ですので強度部材、そしてコスト安が要求されます。
 ブルドーザーではケース、キャリア、シリンダーブロック、バルブボディあたりが鋳鉄品ですが、すべて高い耐衝撃性と疲れ強さが要求されます。

射出成形機用
 合成樹脂製品の成形法の主流は射出成形ですが、この射出成形機の機械全体重量の約半分が鋳鉄で作られています。ねずみ鋳鉄も旋回台、歯車箱に用いられていますが、ほとんどがダクタイルです。これは複雑な形状でも剛性が維持できる適当な強度と延性、熱処理および溶接の必要がない、寸法のばらつきがない、切削性がよい、からです。特に射出成形用金型は一種の消耗品ですから、初期模型のコストが高くても鋳造品であれば、コスト的に見合うという利点があります。

汎用および家庭用電気機器用
 この分野も範囲が広いのですが、生産数量、あるいはその製品における鋳鉄の重要性からみると家庭用空調機、あるいは冷蔵庫に使用される小型冷媒圧縮機ということになります。
 汎用・家庭用ですから、使われる部材も先ずコストが安いことが第1条件になります。そして圧縮機構の違いにより構造が3種類(ロータリー、レシプロ、スクロール式)になります。ロータリー式ではシリンダー、クランク軸、ローラ、主軸受、列軸受に鋳鉄が使われ、スクロール式では固定スクロール、クランク軸、主軸受などに鋳鉄が使われていますが、ちょっと目立ちますのは、共晶黒鉛鋳鉄が使われていることです。これらの部材において要求されている性能は強度、剛性、気密性(相手材とのなじみ)、熱膨張、耐摩耗、成形性、切削性、焼入性、耐圧性、騒音減衰性能ということになります。

電気機器用
 割合に鋳造品が多く使用されているのはモーターカバーですが、この部材には強度的に苛酷な要求はなく、代わりに自動機械加工であるため快削性が要求され、一般に薄肉であることもあって比較的高カーボンの鋳鉄が用いられています。

鉄道車輛用
 ブレーキ関係の部品として、ブレーキディスク、ブレーキシリンダーがありますが、適当な摩擦係数、低い摩擦量、相手材とのなじみ、耐熱亀裂性、強度が要求されます。

船舶用
 鋳鉄は船舶の主機関であるディーゼルエンジンの主要部品であるシリンダー、ジャケット、シリンダーライナー、コラム、台板、シリンダーヘッドとして用いられています。大型で、かつ苛酷な条件で使われますから、剛性、耐食性、耐摩耗性、耐圧性、吸振性が要求され、船舶協会の厳重な検査を受けなければなりません。

鋳鉄管
 上下水道、工業用水道、農業用水およびガス輸送用などに、鋳鉄管はその強度と耐食性が優れていることから、これまで、多いときで全銑鉄鋳物の20%、平均して15%、だいたい70万tonと大量に使用されています。ほとんどが土壌中に埋没されますから、この条件での耐食性がよいということになります。なにしろフランスのルイ14世によって1664年に敷設されたベルサイユ宮殿用の噴水の鋳鉄管路は300年以上も使われています。
 一方内面は通過する流体の性質によって工夫がなされます。鋳鉄にとって大へん有利だったのはダクタイルの登場です。都市の近代化、環境の整備から、土壌中の鋳鉄管に加わる負荷の増大にもダクタイルなら耐えられたからです。

連続鋳造棒
 黒鉛製のダイス(丸、角など、中空材もある)を通して連続的に凝固鋳造した棒状の鋳物です。特徴的なことは黒鉛が共晶状組織をとることと、工夫によって内外部が均質でありますから、棒鋼と同じように後の切削加工によって部品化するところが特徴で、一般の鋳物とは使われ方が違います。一般的に耐油圧性、気密性、切削性、疲れ特性が良好です。使われるのは油圧、空圧機器、自動車、電気機器、紡織機、の部品用と多岐にわたっています。

景観鋳物
街路灯 日本でもそうですが、ヨーロッパでは特に鋳鉄鋳物が古くから、橋、街路灯、フェンス、門扉、ベンチなどに多く使われ、今日でも周りの風景を引き立てる、すなわち景観鋳物として活きております。一時期は都市の様相がメカニックに近代化され、デザインにもよるのでしょうが、古くさいイメージを与えるという感覚で鋳鉄鋳物が敬遠されましたが、最近は改めてその優れたデザイン性が見直され、付加価値の高い新需要分野としての開拓が、鋭意すすめられています。
 マンホール蓋、街路灯、車止め、高欄その他に鋳物特有の優れたデザイン性、そしてある程度の強靱性がうまく活かされています。
門扉 マンホール蓋 歩道橋高欄

日用品
 日用品というのは、たいてい薄肉で、あまり重くないもの、数量が多い、黒皮のままで使う、人の目にみられることが多いのですが、鋳鉄はなべ・かまに始まり、古くから日用品に使われています。なべ・かまはさすがに軽いアルミとかプレス物になりましたが、ストーブ、ガス器具、営業用コンロ、すき焼きなべ、鉄瓶、茶がま、花器、置物、風鈴、灰皿、建物の土台などの建築鋳物に使われています。これは鋳鉄の鋳造性のよさ、薄肉にし易さ、安さ、熱に対する強さのためです。
鉄瓶茶の湯セット風鈴
■鋳物の歴史■
鋳物は人類の歴史とともに歩んできた

 鋳物の歴史は古く、紀元前4,000年ごろ、メソポタミアで始まったといわれています。銅を溶かして型に流し込み、いろいろな器物をつくったのが始まりです。鋳物は、人間のモノづくりの中で、最も古いもののひとつといえるでしょう。
 日本に鋳物づくりの技が伝わったのは紀元前数百年ごろ。1世紀に入ると、銅鐸、銅鏡、刀剣などがつくられるようになり、奈良時代になると、仏像や梵鐘などが盛んにつくられました。各地に鋳物づくりが広がったのは、平安時代なかば以降といわれています。
 鋳物が現代の工業の形態をとるようになったきっかけは、18世紀なかばにイギリスで起きた産業革命です。工場制工業の発展とともに、鋳物が広く機械文明の中に採用されるようになりました。

 日本では 、江戸時代末期になって近代化への動きが活発になります。幕府はオランダから技術を導入してキュポラを建設しましたが、これが近代化へのさきがけとなりました。

 長い歴史の中で、鋳物はいつの時代も重要な役割をはたしてきました。その技術が今日まで受け継がれているのです。
鋳物はここがすごい!
自由自在な造形

 砂や金属でつくった型の中に、溶かした金属を注ぎ込んで必要な形にする加工法のことを鋳造(ちゅうぞう)といい、この方法でつくられたものを鋳物(いもの)といいます。鋳造にはたくさんの方法がありますが、水が器の形にしたがうように、複雑な形状でも自由自在に造形できる点が大きな特長です。鋳物にも、使用する金属材料によっていくつかの種類があります。その中でもっとも広く使われているのが銑鉄(せんてつ)鋳物です。
 銑鉄は、鋼など他の鉄素材に比べて、より多くの炭素を含んでいることが特徴です。実は、この炭素が鋳造の重要な鍵をにぎっています。鉄に炭素が混じると融点が下がって鋳造しやすくなります。また、炭素は鉄が固まるとき結晶化して黒鉛になりますが、そのとき膨張して、全体の体積の縮みを補うことになります。

現代の銑鉄鋳物を材質でみると、ねずみ鋳鉄とダクタイル鋳鉄(JIS;球状黒鉛鋳鉄)が主流です。特に、ダクタイル鋳鉄は鋼に近い強さを鋳物にもたらしたという点で、鉄鋼における今世紀最大の発明といわれています。
▲ねずみ鋳鉄▲ダクタイル鋳鉄


鋳物に代わるものはない

 銑鉄鋳物は、硬さと粘り強さのバランスがとれた材料です。鉄と黒鉛の複合材料であるため、硬くても加工しやすく、しかも他の鉄にはみられない優れた性質をもっています。さまざまな用途に使われるのは、銑鉄鋳物でなければならない理由がそこにあるからです。

 銑鉄鋳物の性質を特徴づけているのも黒鉛です。この黒鉛が振動(音の発生)を抑えたり、潤滑剤の役目をはたして摩耗を防いだりします。鋳物が自動車や船のエンジン、あるいは音をださないブレーキ装置に欠かせない理由です。加えて、熱に強く腐食に強いといった性質が銑鉄鋳物の利用価値を高めているのです。


世界に誇る日本の鋳物

 わが国の製造業は、品質の高さ、安定した供給体制、納期、多品種少量生産への対応などの点で、国産の銑鉄鋳物製品が世界一であると高く評価しています。こうした優位性が国際競争力の源にもなっています。コストダウンにも業界をあげて取り組み、省力化のためのロボットや、熟練の技をソフト化したコンピューターの導入も進められています。
鋳物ができるまで
熱い心がつくる

溶かした鉄を型に流し込んで、自由自在に造形する・・・
鋳物づくりには奥深い技が秘められています。
鉄の性質を知り尽くさなければ、
自由な造形は望むべくもありません。
「だから、おもしろい」と、現場の人たちはいいます。
若い人たちもがんばっています。
自分の中に、モノづくりのノウハウが蓄積されていく喜び。
もっと良い製品をつくろう・・・
鋳物づくりに携わる人たちの熱い心が、
新しい可能性を開花させようとしています。


鋳物はこうしてつくられる

  
 1.鋳造方案
生産個数や要求される材質、形状、寸法精度などに応じて、どのように製造するかを決める。
経験が頼りの作業だったが、最近では凝固シミュレーションシステムなどコンピューターの利用が進んでいる。
 
2.模型製作
製品図面に忠実に、仕上げ代、寸法許容差、溶湯(溶かした金属)の凝固収縮などを考慮に入れて、主型、中子(空洞部をつくるための型)の模型をつくる。
量産品は金属型、単品・少量品は木型。
最近ではCAD/CAMを使って、自動加工も行われている。
3.鋳物砂調整
型をつくる鋳物専用の砂に粘結剤や添加剤を配合する。
型用の砂として、もっとも使われているのは“けい砂”で、その大部分が国産。オーストラリアからの輸入も増えている。
4.溶解
必要な化学成分をもつように配合した材料を、溶解炉で溶かして、高温の溶湯をつくる。
コークスを燃やして溶解するキュポラと、電気炉が主流。
5.主型造型
鉄製の枠の中に模型を置き、砂をつめて、上下型をつくる。
粘土を粘結剤にした“生型”と、熱硬化樹脂を粘結剤にした“自硬性型”がある。型の中に、砂を均一に詰めることがポイント。
6.中子造型
主型と同様に、中子をつくる。
溶湯に囲まれてかなりの高温にさらされるため、耐熱性の塗布材を塗ることが多い。
 
 7.型合わせ
下型に中子をセットし、上型をかぶせて、鋳型を組み立てる。
湯と粘結剤からでるガスを抜けやすくしておく。
 
  
 8.注湯
型に溶湯を注入する。注湯後は適切な時間で冷却。
注湯のコツは「静かに早く」。時間がかかりすぎると、トラブルの原因になる。冷却は時間が足りないと、製品が硬くなりすぎたり、変形したり、亀裂を生じたりする。
 
  
  
 9.型ばらし
上下の型を分離し、製品を取りだす。
中子はどうやって外すか。砂に加えた粘結剤や添加剤は、溶湯の高熱で硬くなると同時にもろくなるようになっている。衝撃を加えると、崩れ落ちるというわけ。役目を終えた砂は繰り返し利用される。
 
  
  
 10.鋳仕上げ
製品の表面についている砂を落とし、不要な突起などを削りとる。
 
  
 
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